23th A Fukushima House Competition(2018)

最優秀賞  【 集いの家 】
  阿部 直人 氏

選評

市郊外の閑静な住宅地に建ち、隣家が接近し東側と西側に道路を持つ住宅である。遠方からの人々を始め、ご近所の方々が集うサロンとなっている。
 東面にポーチと駐車スペースとを結ぶ下屋を持ち、南北に向いて大きな切り妻屋根となっている。仕上げは外壁をアイボリー系のカラーサイディング及び杉板縦張りで、屋根はアイボリー系のカラーGL鋼版となっている。東側の広く開放されたポーチから建物の中に入ると広々とした開放空間が出現する。広い玄関土間の一画に全室を暖房できるストーブが設置されており、吹き抜けとなる玄関とリビングダイニングキッチンから2階に上る緩い階段があり、6畳の和室と1階を連動した4坪弱の多様な用途に使えるスペースがある。リビングと屋外のデッキテラスを一体化させることにより室内の広さを大きくしている。室内の内装は、床材は杉板・畳、壁は漆喰、天井は杉板など使われ、シンプルにできている。
 施工技術においては、柱・梁・桁・束などの木組みを積極的に表し丁寧な仕上げになっている。各設備においては一般的であるが主暖房についてはストーブを主とし、天井に留まった暖気を換気ファンで床下に送り込み床面を暖かくする循環方式がとられている。各材料については地産の杉材を床・天井及び一部外装として多く使われている。西側駐車スペースから、ご両親が残してくれた南側の樹木が大きく育った庭を散策しながら通り南ポーチより玄関に入る。

 
福島県知事賞 【 Cypress house 】
  秋月 直道 氏

選評

玄関を開けると、家中に広がる桧の香りに圧倒された。貴重な「会津産の桧材」を外装材、構造材、床・壁・天井、根太から野地板まで贅沢に使用している。分離発注で施工が行われ地元業者の協力により建築されたこの建物は、住まいに関わる地域の方々の協働による地域資源を生かした良質な住まいづくりとして、今回、福島県知事賞を受賞した作品である。

北西からの季節風と道路からの騒音に配慮し、暮らしを守るL字型に配置計画された建物は、地域特有の配置計画だ。L字型にすることによって生まれた庭に面したリビングが家の中心になる。その中心的なリビングは明るく開放的で「内」と「外」を一体化し、2階へとつながり、広がりに連続性が感じられる。

若いご夫婦の家ではあるが、隣地には畑があり、遠くには山々が見え、周辺の自然環境とのつながりや自然素材との関りも大事にし、科学石油製品を使用しない、また木材の経年変化を楽しめる家造りになっている。さらに木材のぬくもりをどこにいても感じられ、大黒柱や家具類には施主の強いこだわりが込められている。 

これから未来ある子供が育つ家として、心が豊かに育ち、身体がリラックスでき、家族が一緒に健やかに成長できる家だと感じられた。


優秀賞  【 コの字の家 】
  奥山 淳一 氏
  奥山 千津 氏

選評

 昭和50年代に造成されたニュータウンに建つこの家は建て替えで、敷地は面道路より70cmほど高いところに建っている。
 周りは当時の一般的な2階建ての住宅が多い。外部は建具のガラスと木枠の他は、屋根と同材の外壁の濃いガルバリウム鋼板しか見えない、中庭側も外壁のガルバリウム鋼板と軒天杉板と化粧垂木が見えるだけの少ない材種でまとめている。以前の建物は居室が道路に面していたため開口部はカーテン等で目隠して生活していたそうだが、コの字型プランにして道路側にゲストルームを置き、リビングダイニングルームを中庭に面して配置したため、道路からの視線を気にせず開放的にカーテン無しで生活できるようになっている。主動線とプライベートな裏動線も整理されている。
 内装は一般的な自然材料を工夫して上手く使っている。建具は引き戸を多用し、使う部位により吊戸にしたり、床の仕上げが変わるところは下レールを見切りに利用するなど細かな気配りを感じさせる。日常的に利用する部分と玄関ホール、ゲストルーム側を引き戸でゾーン分けをして暖冷房のエネルギーの節約も顧慮されている。外部建具の框を見せない工夫やポストの郵便受けを玄関集の中に収めたり設計者のアイデアがたくさん盛り込まれた建物に仕上がっている。現地作成の引き戸の気密性の考え方はいわきならではと、道路と敷地の段差のバリアフリーについては少し気になった。



優秀賞  【 散歩道の家 】
  佐久間 宏一 氏

選評

郡山市。大きな調整池へ約30m南面し、対岸に学校を望む日当たりの良い住宅地。開口部と調整池周囲の散歩道からのプライバシーを両立させるため、床レベルを設定したスキップフロア形式の住宅である。開口部は椅子に座った時・床に座った時、台所で炊事をする時等、各目線の高さにちょうどよい高さ、場所及び大きさになっており、設計者の視線への配慮が随所に感じられる。平面計画はLDKを中心とし纏まったレイアウトで、リビング脇の半外空間からは爽やかな南風が光と共に通り抜け、明るく開放的な空間になっている。動線計画については、直線的で明快な家事動線、短くコンパクトにまとめられた脱衣・洗濯動線など、機能的かつ効率の良い動線計画で、住みやすさを感じる一方、高齢化対策としてスキップフロアである故の段差の処理方法、手摺の設置及び廊下の幅等についてはやや不安が残った。又、外部については、散歩道との境界に家庭菜園を設け、スキップフロアで区切られたスペースを縁側として有効利用することで地域コミュニティに配慮がなされ、近隣の人と収穫する野菜について語り合う姿が目に浮かんだ。
ダイニングの椅子に座ると爽やかな風が通り抜け居心地が良く、いつまでも座っていたい−そんな気持ちにさせる住宅でした。


奨励賞 【 安積町の家・岡部邸 】
  佐藤 孝 氏
     
特別賞 【 町の屋根 】
  新妻 邦仁 氏
  新妻 多恵子 氏
     
入選  【 うつろいの家 】
  安齋 好太郎 氏

入選  【 真淨院書院 】
  佐藤 憲司 氏



back






Category T
建築士会とは
支部情報
入会案内
アクセス
お問い合わせ
Category U
法律・制度
講習会
情報
試験
書籍販売
Category V
一級建築士登録・変更
二級建築士登録・変更
木造建築士登録・変更
構造・設備 登録・変更
専攻建築士制度
CPD制度
応急危険度判定士
Category W
まもりすまい保険
けんばい・こうばい
その他保険
アクセス
Category X
住宅コンクール
専攻建築士検索
会員HP
Link
Category Y
定款
倫理規程
財務諸表
その他